プログラマーになりたい。

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聖か俗か

トンスラ (幻冬舎文庫)

トンスラ (幻冬舎文庫)

主人公の完璧で徐々にエネルギーを失ってゆく日常を突如としてやぶる「ヤブ」。ヤブは破壊しない。はじめから破綻していたことが、鏡に映るようにヤブの存在感に反映されて、主人公はそれを見つめざるをえなくなるだけ。


ヤブは頭の薄い貧相なオヤジさんだ。一貫して、なんにもこだわりがないから、どんなに困っても悲愴になれない。あげくに、笑っていれば、おもしろくなってくるなどと平気で言う。ひとりで大爆笑する。日常にまみれちゃって非常に俗っぽいはずなのに、それがほんとうに極端なので、つきぬけ過ぎて聖なるものにも見えてしまうという希有な存在。まるで苦行のすえ悟ったかのよう。すべてを受け流してしまう。深刻ぶることがないってのはほんと、大事な才能。

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