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伏線の張り方、ガキとなるキャラの造形が気になるが…

ソリューション・ゲーム 日常業務の謎 「このミス大賞」シリーズ)

ソリューション・ゲーム 日常業務の謎 「このミス大賞」シリーズ)

大企業の役員を父親にもつ「東(あずま)」が、ぶらぶらした挙げ句父親の会社の連結子会社ではたらくことになる。その会社はどうも親会社の解決できない問題を(独自の倫理に基づいた手段で)解決するという仕事をしているのがわかってくる。

最後の章は主人公と父親の関係が結構キーになるのだけど、父親の性格について短い説明的な文章がいくつかある(電話で人を動かすのが好きだとか)だけで、なんとなくそれだけでは父親の人物像がつかめなかった。

最後の章は、もともと主人公は父親に興味がないという前提があって、はじめて、最後の章としての特別な重さを持てるものだから、この父親の台詞の少なさは気になった。

一方で、直属の上司やトラブルの関係者として登場する人々はエンターテイメントらしい明快さがあって、それらのキャラクターを通して様々な考え方や価値観、生き方を提示している。また、謎が全部解決するわけはなく、また解決とはなにかということ自体が視点によって異なるということまでも示唆する。このような点において、エンターテイメントとして楽しい作品であると同時に、作者の息づかいが適度に感じられるような面白さがある作品だ。

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