前半と後半が寝違えたような印象。
- 作者: 佐川光晴
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/06/20
- メディア: 単行本
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なんだか、長編と大長編の2本にふくらむテーマを、無理矢理1本につっこんだ感じがする。もったいない。あるいは、最初は前半だけ、主人公が回復するまでで書くつもりが、取材してて近いテーマにはまっちゃったとか。それとも、前半は、後半のテーマのために作ったんでしょうか。
主人公がコンビニでバイトをしたいというのはいい、そこで急患が発生するのもありだと思う。でも、前半の内面重視の流れが、「社会派」みたいな方へと、途中からいきなり、ぐきっと方向転換する。これがきもちわるい。前半のコンビニ周辺の登場人物がみごとに宙に浮いたまま結末をむかえるのは、なんだかあまりにもすっきりしない。
現実的に未解決のまま存在する問題を取り上げている以上、読後感がとてもすっきり、というのはありえないのだけど。それにしても、無駄なすっきりしなさが残る。
件の急患の女子高生と主人公が、最終的にくっつくのが、予定調和な結末なんだろうけど。しかし作者は、現実のひどさをみて、その安易な予定調和を書けなくなっちゃったのかな…。