だまんです。

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ふりまわし、ふりまわされる人々

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ばす

ばす

『ばす』はブラックバスの「バス」。農業用水の貯水池としてつくられたらしい、ひょうたんのような形の池が舞台。
釣りの魅力(魔力)と生態系の問題が、なんだかいろんなちっちゃい事件やトラブルやドラマを巻き起こす。たぶんこれは「連作短編」というのだろうけど、人間同士が直接どうのというよりは、池と池の生物たちを中心にして、そのまわりに、ぞろぞろいろんなやつが出没しバカな事件を起こしたり魚を釣ったりする。
この、あくまでも中心が生態系にあるような描き方がおもしろい。というか、人間も池の生態系の一部だという感じだろうか。そうすると、「外来」、「在来」とか「自然」、「人工」とかいっても、その境界はどこにあるのか、そもそもそんなものあったのか、よくわからなくなってくるわけ。
しかも、この池、なんだかやたらといろんなものが放り込まれる。人間も何人か落っこちたりするし、糸の切れたルアーとかみたいなものもそうだし、他にわけわかんなくなるぐらい多種多様な魚とかも放流される。
ああ、筋は違うけど水辺つながりで、川端裕人川の名前 (ハヤカワ文庫JA)』を思い出した。


マリッジ:インポッシブル

マリッジ:インポッシブル

主人公が仕事でつきあいのある「河出」という(年上で既婚の)女優が、希有なキャラクターだ。発言がだいぶ突拍子もないので目立つ。ということを差し引いても、出てくるだけで存在感がある。物語をシステムで語るのは苦手なんだけど、たぶん河出は主人公にとっての「結婚」そのもので、これが音楽だったら「結婚のテーマ」みたいな存在なのだと思う。主人公が河出に感じる怖さ、謎、つかみどころのなさはすべて「結婚」に対するそれと符合するような気がする。当然、「結婚」と結婚するわけにはいかないという意味でも。
そういえば『ばす』にも番組制作会社が出てくるけど、あのひどいディレクター(だっけ?)と比べると、こっちの登場人物たちはかなりまともだ。

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