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「雨にもまけず粗茶一服」がいつのまにか文庫化

松村栄子『雨にもまけず粗茶一服 (上・下)』

雨にもまけず粗茶一服〈上〉 (ピュアフル文庫) 雨にもまけず粗茶一服〈下〉 (ピュアフル文庫)

単行本は、見た目の厚さのわりに妙に読み応えがあると思ったら、なんと文庫は上下巻に…。
弓も刀もやる武家茶道の「家元」の長男が主人公。この若さまが、なりゆきで京へ出奔!(「一、若様御出奔の段」)するところから始まる。
茶が日常的すぎて「歯磨きみたいなものだ」とかいう。手は動くし、センスもすごいのに、知識や精神性がついてこないという天然茶人ぶりは、武家茶道版「のだめ」みたいな感じがある。
個人的には最初に読んだときは、なんとなく設定が高飛車な気がして鼻についたけど、なんだかんだで、読むのは今回で4度目なのです。つまり年に1度ずつ読んでる計算(当時は主人公ぐらいの年齢だったのに…)。
いいかげん、かけねなしに面白いと認めようかと…。

ところで、これの単行本を見るまで、松村栄子はすごく「純文学」な作家だと思ってたので、表紙からしてばりばりのエンタメ系であることに驚いた記憶がある。
エンタメ系だし、おもしろいのに、あまり話題にならなかった気がするのが不思議。


余談ですが、この目次をみるとセクションタイトルが、歌舞伎か浄瑠璃か…?という感じの独特の表記になってるのです。それがストーリーのコミカルな感じとよくマッチしてて、おもしろい。

  • 「二、与話情京畳(よはなさけきょうだたみ)の段」とか、
  • 「七、競錦茶会(はでくらべにしきのちゃかい)の段」。

あげくに、勢い余って筆がつるっと!って感じの

  • 「九、和尚遺名筆(おしょうがじょうずにじをかいた)の段」

なんてのも。
あと、この日記を書くために調べてて知ったんだけど、『ウフ.』という雑誌で続編が連載されているらしい。ほんまかいな、という感じだったんだけど。そしたら「粗茶一服に雨あられ」というタイトルまで見つけました。

追記: 続編(風にもまけず粗茶一服)も刊行された!

風にもまけず粗茶一服

風にもまけず粗茶一服

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