プログラマーになりたい。

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助教授は解脱したのか

意味深なプロローグと無口なエピローグ。(失礼ながら)いつも自信満々なイメージの森先生の筆が、逡巡しているようにみえる。その落差のせいか、いままでになく生々しい印象を受けた。
この主人公たちは、これまでの作品の主人公——もう少しソフトな院生生活の"どきどきフェノメノン"、趣味人の面からのエッセイでの本人、新書、作家の顔を持つ"水柿"など——で触れた要素を削り落とした、芯の部分、すなわちひとりの研究者としての人格や懊悩をテーマに描いている。それは、これまでは「クリエイティブなことをする時間がなかなかない」という程度しか書かれなかったものだ。
したがって、ある意味地味だが、今までになく純文学的。

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)

でも、「水柿助教授」は"解脱"して、はなにか吹っ切れた印象があったんだけどな…。あれは生活のある人間としてのものだったのかな。金銭面というか。あるいは作家として。
それで、それでも吹っ切れないものが、むしろ浮き彫りになりつつあるのかもしれない。研究者としての業、みたいなものだろうか。
これが森博嗣自身の「素」だとかいうつもりはないんだけど、主人公の内面の描写が多い。


あと、そういえば、ここまで懐古的なエピソードや時代設定を使っているのも今までになかった気がして、どうも折り返し地点を過ぎ、選ばなかった別の道を「喜嶋先生」に投影しているのではないか、みたいな邪推もした。あるいは、商業作家としての森博嗣は30代後半からで、この主人公はどうも30代のようだから、作家以前の一助教授だった時代までの、作家デビュー前夜までのことを描いたのかもしれない、とも。
加齢もあるだろうか。ともかく、作家としても新しい局面に入ったんじゃないかという印象。(2010年12月14日火曜日 9:33)


ちなみに、個人的には息をしないシーンのあの感じ、じぶんの研究と逃避のことを思い出して、耐えがたかった…。過去の亡霊が伊府不快感としてよみがえって、はらわたの冷える思いであった。ホラーよりホラーだ。
この小説の研究者の姿勢を「熱い」と書いているのを読んだけど、ぼくにはひたすら極寒の世界にひとりずつ、ぽつんぽつんと立ち続けているイメージである。

襲撃、ビッグサイト。(C76)

今回のコミックマーケット76ではじめて「コミケ」を経験した。購入した頒布物をすべて読み終わってから、エントリにしようかと思っていたが、そのようなものよりは、初参加の印象の方が重要な気がしたので、当日の記憶が薄れないうちにエントリを書くことにした。1日目と2日目に参加したが、ここではより本格的に参加した2日目について書く。


 *


8月15日、2日目が開催されたコミックマーケット76(コミケ)に参加した。正午すぎに着くと、折りからの晴天により東京ビッグサイト周辺の気温は30度を超えていた。


この日、2日目が開催されたコミックマーケットに、例にない数の一般参加があり、駅付近の歩道はは混雑を極めていた。開場から2時間をすぎてもなお、押し寄せる勢いはおさまらず、これらを建屋内に参加者を収容しきれていなかったのだ。
直射日光の下、入り口から伸びる入場待ちの行列は、ゆりかもめ駅前で折り返し、さらに、りんかい線駅の下にまで及んでいた。

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そそっかしい。

C76ジャケ買いした同人誌の大半がソフトなBLだった件。と速報してしまったけど誤報。実際には、50%程度ですね(下記参照)。


ちなみに、ジャケ買いじゃないのは何かというと、これね。


あとね、知り合いの若者がまたなんか面白いことやってるので紹介しておきますね。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4489698
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4489724

包装済みのナマモノ

現代少女概論のid:at_yさんにmixi日記を1ヶ月コンプリートした画面をみせた際目に入ったらしい「生の肉は、ただの生肉だから。」という文章がいいというので、真に受けてその日記を載せてみることにしました!

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というわけで、コミケ初参加することにしたよ(2日目土曜)。

コミケ76メモ:

※@haruka_izumi、@fudukyun8810、@takeshikにTLでアドバイスしてもらいました。どうもありがとうございます。

買いに行きたいな。

  • 東P-54a 幸せ亀裂計画『破滅論 1st contact』
  • 東Q-15a(委託先) @ch3cooh + @pullus『pixiv解析本「PIXIV ANALYSIS」』

愛国的な反ナショナリズム、反全体主義

半世紀くらい前に、ジョージ・オーウェルというイギリス人作家によって書かれた、時事や政治的態度にかかわるエッセイを収集したもの*1
当時の左翼らしいのだけど、いまだったら自民党とか民主党にいてもおかしくないと思う。
大英帝国のことを読んで、それにしても、アメリカに「黒人」大統領が誕生したことには驚かないくせに、いまだに人種とか民族にこだわるのって一体どういうことなんだ。このころと本当に変わってないじゃないか…などと思ったり。

右であれ左であれ、わが祖国 (1971年)

右であれ左であれ、わが祖国 (1971年)

第一次大戦中から戦後のヨーロッパにおける状況とか固有名詞を知らなかったので、思想や雰囲気しかわからないけども、ほとんどの部分は、いまでも十分実用的に読めた。


というか、あまりにも問題意識自体が変わらないことにおどろいてしまった。同じようなことを考える人はいつの時代にもいるのか、この(1940年代)頃より後に、やってること自体ははあまり変わんないのか…。

*1:右であれ左であれ、わが祖国日本 (PHP新書)」という本を読もうと思って調べたらいっしょに引っかかったので、タイトルの元ネタと思われるこちらを先に読んだ。

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読みたい本。

追記

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