東京都杉並区で99年、割りばしがのどに刺さった杉野隼三(しゅんぞう)ちゃん(当時4)が受診後に死亡した事件で、東京高検は4日、業務上過失致死罪に問われた医師根本英樹被告(40)を無罪とした東京高裁判決に対する上告を断念する、と正式に発表した。根本医師の無罪が確定する。
高検は、遺族の意向に加え、上告を求めて約2300人の署名が寄せられたことも踏まえて検討したと説明。そのうえで「高裁判決を破棄させるに足る重大な事実誤認は見あたらなかった」とした。
この事件、憶えている。当時の報道は「なんで気づかなかったんだ」と怠慢を指摘する報道ばかりだった記憶があるけど。
一方で、一般的な診断の手順で対処できる範囲を外れた症例に、対処できなかったとしても、それはやむを得ないのも事実なのだろう…。
この「高裁判決を破棄させるに足る重大な事実誤認は見あたらなかった」というのはつまり、捜査と立件の段階からして勇み足だった面があるということなのか。それとも、検察側としては有罪といえるだけの十分な証拠をつみあげたが、それでも司法が無罪というならこれ以上は手は無いということなのか。いまいちわからないが。なんだか気が抜ける話だ。どちらにも不幸なことだ。
でも、これ以上、医師全般に理不尽な精神的負担がかかるようなことにならなくて、よかったとも思う。