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こおろぎ

蟋蟀(こおろぎ)

蟋蟀(こおろぎ)

あのさ、どうでもいいんだけど、上のアイテムを入れようとして「蟋蟀」(こおろぎ、と読む)って検索したら、はまぞうの検索結果1位に出たのが「デラックス防雀テープ20mm×90m メーカー/出版社: ヤマオカ商店 メディア: Kitchen」でした。
あの、一体…。キッチンで、何をスズメから防ぐのだ。つうか蟋蟀と何の関係が…。
こおろぎの漢字表記も読めないが、「デラックス防雀テープ」は読めない上に意味が分からないのです、非常に気になっております。


ま、それはともかく。栗田有起って寡作なのかな、それともしばらくお休みがあったのかな。
なんでこんなに面白い人があんまり有名じゃないのさ…と、読むたびに毎回思うんですが。
たぶんいまは、出版の頻度とかが致命的に知名度にひびく、不便な時代なのね。


で、今作は、なんとなく星新一的なショートショートみたいなちょっとストイックなイメージを受けた。どこがといわれると困るのですが。だって星新一は、たしかだいぶ昔に1冊読んだだけだから。
ただ、あんまり、こっち側に干渉しないというか。意見とか、思想とか、そういうのが薄いか、単純な気がする。
なので、感情移入できないわけじゃないけど、なんか普通の小説とは回路が違う。
とくに「猫語…」は、過激なので好みが別れるかもしれないけど。メインが感情ではない、動物的な感覚の小説だと思う。それが妙に社会的に生きているから、おもしろいわけで。


ところで、栗田有起がほんとに「寡作」といえるか、ググってたら、いやーなもの見てしまった。

大森 同感です。
豊崎 あと、会話が、相変わらず村上春樹くさい。わたしキノコ話の途中までの展開はけっこうイライラしながら読んでたんです。なんだよー、トレンディドラマなみに都合のいい展開だなあって。その後、そういう展開が伏線になっての「!」って設定が明らかにされるんで、あーわたし悪かった、早々に決めつけごめんねって反省しましたけど。でも、どうしても前半と後半とが切れてる感じは否めないと思うんですよね。
大森 僕も、キノコを探しに行けって言われて帰国してからからはちょっと面白いなと思ったんですけど。そこだけは意外性がある。でも、そのあとはもう、100万年前からあるような伝奇物のパターンの、予定調和的な展開になってしまう。そのまんまやん!
豊崎 あとこの人、こんな短い話にいろいろ詰め込みすぎるんですよね。お父さんとお母さんの離婚騒ぎとか特にいらないんじゃないのーとか思うんだよね。そのへん、キノコの話に集中しそうになってると、水を差されちゃうというか。
大森 いやいや、ロールプレイングゲーム的に言うと、その話がないとフラグが立たないので(笑)。いちばん不自然なのは、フランスから成田にやってきて、早々に東京でキノコ探しに取りかからなくてはならないのに、なんでなぜ名古屋に行くのか、なんかデカい荷物を持ったまま。それは、実家でお母さんから離婚届を預かって、お父さんの連絡先を教えてもらう必要があるからなんですね。キノコの謎をクリアにするには、まずそこでフラグを立てなきゃいけないっていう風な作り方になっちゃってる。そこはもうちょっとやりようがあったと思うんですけど。「オテルモル」のときもそうなんだけど、不思議なものを考え出すのはいいんだけど、その不思議さを支える細部とか、細かいところまであまりよく考えないという癖があって。今回のキノコに関しても会社や組織を設定したのはいいけど、じゃあ具体的にどういう業務をしてるのかとか、結局何が目的なのかっていうところがよく練れてない。「もしこんなキノコがあったら」っていう前提は大ウソでいいけど、その先をちゃんと考えないと「お約束」の小説になっちゃう。

これはひどい。なんかさあ、わざわざ悪いところだけを探してるみたいで気分がわるくなる。こちらだけ読んだときにも、参考にならない気がする。むしろはげしく誤解しそう。Excite、一体何を載せてるんだ。そんなに駄作ばかりならノミネート本なんか読むなよもう、と。
「100万年前からあるような伝奇物のパターンの、予定調和的な展開」って言葉は、しかし、すごいねえ。
しかし、本作の魅力はグロテスクなきのこの描写であって、登場人物は、きのこに振り回されたり、読者に身体感覚を伝えるための一時的な媒体としているのだろうから、そこをつついてもねえ…と。
生きているのはきのこだから、たしかに人間は生きてないかもしれないけど。


あと、上の引用と同じページだった関係でつい読んでしまったんですが。
中島たい子『この人と結婚するかも』の方もだいぶばかにしている。
これって、そんなに生易しい作品でしたっけか?
「男性と出会うたびに「この人と結婚するかもしれない」っていう風に思いがちだっていうだけで何ページも」引っ張ってる作品だけど、だからこそ怖いんでしょ。この本はそういう甘さを、さらっとえぐってたような気がしたんだけどな。記憶違いかしら。
まあ、『漢方小説』に関しては、たしかに提灯記事みたいな感じもしたけど、これも同類の「NOVA小説」だったか?むしろ言わないお約束になっている部分を、ぽろっと書いてた気がするんだけど。

豊崎 いわゆる負け犬の主人公が、男性と出会うたびに「この人と結婚するかもしれない」っていう風に思いがちだっていうだけで何ページも引っ張れるっていうのは、筆力があるなと思う。デビューしたての人だし、小説知能指数は高いし、センスもいい。
(略)
大森 デビュー作の『漢方小説』もずいぶん売れたそうだし。中村文則とか楠見朋彦とか、芥川賞以外では売れる道がなさそうな人とは違って、賞と関係なく、ほっといても売れる作風ですからね。『漢方小説』は健康ブームにのって、漢方医にかかるとなんでも身体が治りそうって感じを与えたし、若い女性に読まれるのはよくわかる。今回もNOVAに駅前留学してるような人たちからは支持されそうで。
豊崎 NOVA小説(笑)。
大森 OLさんとか、女性読者にとって身近な題材をうまく使ってる。「英語完全征服」が好きな韓流ファンにもウケるかも。

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