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お経ポップ

どこで聞いたのか忘れたけれど、ここのところせっかく「ノイズキャンセリングイヤフォン」をかったのだからと、洋楽ばかりのiPodで耳を塞いでいたのだけど。それが、何かの拍子にふと日本語のポップを耳にしてびっくりした。


中途半端に遅く、でも「君が代」ほど遅くない…。いかにも「ポップス」、玉虫色なテンポのバラードだった。そして、無駄に跳ねない単調なパーカッションは四つ打ちの影響か。さらには、語尾を「ええ〜」「あああ〜」とか、いちいちべたべたとのばすんだよ。なんでこれを、誰も止めなかったんだろう…。聴いてるうちに「うわーー!!もうっ!!誰だこんなもんを作りやがったのは」と。


まるで、なんーみょーほーれんげーきょー。すなわち南無妙法蓮華経なんだもん。
なんで、こんあにお経っぽいんだ!と、愕然とした。
どこまでいっても連動するパーカッションと歌声が、木魚+お経にきこえるのだ。うーわあ。「ポップ」なんて跳ねた感じの語感のくせに、とろとろとろとろ歩くようなアンダンテ。アクセサリーとしての英単語も、アクセサリーとしてもなんだかなーだし。

カラオケでの歌いやすさを過剰に考慮してか、アーティキュレーションとか、フレージングなんてなんのその。(これらの用語に、対義語みたいに示される「棒読み」。)
これがまた歌詞とすばらしい不協和音をかなでる。妙に古風な歌詞なのだ。「てにをは」や、「た〜と〜え〜」、「で〜も〜」みたいなの単語間の接続が省略されない。さらに「かかりうけ」まで。そういう聞こえなくても意味が通じる単語にまで、しっかり1音符ずつふってある。
さらに、ひと文字ひと文字母音をしっかり発音。結果的に、それらの明らかに重要じゃない部分を、逆に強調しているように感じる。そこばかり耳につく。なんでこんなに、どろどろ、ずるずる、べたんべたん感じるんだろう…。


舐めかけのキャンディーを差し出された気分だ。甘い匂い。しかし甘けりゃいいってもんでは、ないのだ。


こりゃ、一体なんだ、と。
たしかに日本語は、ひらがなどおりに発音すると、母音がついてまわる。かなを素直に四分音符に振るとこうなるということなのだろうか。ああ、なるほど、こういうのを「制約が構造を生む」というのだな、しかしこちらは美しくない。そもそもなんか微妙に違うけどね(ちなみに元は結城浩の『数学ガール 2』)。などと下らないことを考えたり。


ところで、これ、けっこう衝撃的だったんで歌詞の一部を覚えてて、Googleで調べたんですよ。そしたら、なんとまあ、めちゃくちゃ売れた曲らしいんだよね…。少なくとも邦楽音痴のおれでさえ、曲名だけは知ってたんだから。
まあ、特定の1曲ではなく、日本語ポップには、もう少しマイルドではあるものの、これに類する印象を受ける曲が結構ある。ということは、おれの耳がおかしいんだろう。とはいえ「非国民だ!」と、白い目を向けられることに耐える自信があるわけでもないので、詳細は黙秘せざるをえないとの結論に達しました。曲名などは特に伏せます。

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