プログラマーになりたい。

プログラミングや写真や本や読書会のことや、日常のこと。

インフレか不況か。両方ならば通貨危機だ

10日の東京外国為替市場の円相場は、午後5時現在、1ドル=99円16銭〜18銭と、前日の午後5時と比べ2円02銭の円高・ドル安となった。

毎日新聞 2008年10月10日 17時38分

相対的にすごい勢いでドル安がすすんでいる。決して円高ではないはずなのだが。米国経由で原油を買い付けている日本の業者なんかは、うれしいのか。最近の原油相場の波は、以前より小さいのか、大きいのかわからない。


以前、こんなことを考えた。原油価格が高騰するなら、転嫁する際に、粗利の割合を維持するように価格を上げればいいのではないか、と。そしたら円単位でみた経済活動は活発になるかもしれないじゃん、と。それは経済成長じゃないの?と。
しかし、よく考えればわかるように、国内だけならそれでもいいが、原油は輸入品だ。そして外との関係として円相場というものがある。もし、ここに書いたような状況になったら、価格に転嫁しつづけるうちにどんどん円安が進み、実感としての景気はぎゃくに悪くなるかもしれない。そうして円安が進むと、結局、円換算の原油相場はあがってしまうから。
ああ、それはただのインフレかも、と。
あるいは、まかりまちがって経済成長だと間違われてバブルが起こされ、円が買われ円高になるという筋もなくはないが。それならそれで、いずれバブルがはじけたときは、90年代後半のアジア通貨危機の二の舞になる。
それでやっと納得したのだ。ああ、たしかに原油高は困るんだな、と。こないだまでは円安だったから。


さて、ところがドル安なのだ。ここ数日はドルが下がり続けている。


やっかいなのは3体問題みたいになっていること。
ユーロはどうだ。

〔外為マーケットアイ〕
<17:05> ユーロ1.35ドル後半へ上昇、海外ファンドの買い
 夕方の取引でユーロがドルや円、スイスフラン、NZドルなどに対して上昇。市場では、海外ファンドがまとまって買いに動いたとの指摘が出ている。ユーロ/ドルは1.35ドル前半から一時1.36ドル半ばまで(略)上昇したが、買いは続かず現在は対ドルで1.3590ドル付近(略)へ反落した。(略)値動きの荒い展開が続いている。

わあ、微妙…。ここで、円かドルのどちらかと連動していたら、どっちが安いとか言えるのにな。
ここだけ読むと円/ドル相場が連動してるみたいに見えるけど。そんなことは、ないわけで。

最悪のシナリオは

上記の主要3通貨がもみあいながら、その実、どこへもいけないこと。

「世界同時インフレ不況」とでもいおうか。
「インフレ不況」って言葉はかってに言ってるだけですが。経済学的には、これってどうなのだろう。寡聞にしてそのような現象は聞いたことがないんだけど、これって定義上あり得ないとかそういうことなのか?


また、対ドルで円高のとき、元がどうなるかだ。元がドルと連動したりすると、日本への輸出が減って、これでうっかり中国経済がひっくり返ったりしたら、結局日本も余波をかぶる。


中国と日本は一蓮托生。
ヨーロッパとアメリカ、こちらはサブプライムで同時に沈む。
そしてオイルや原料価格は高騰。
こういうのを「世界同時インフレ不況」と名付けてみたんだけど。
というか正確には「「主要国」同時インフレ不況」だけど。


しかし、ここまでいくと、戦争になりそうだ。これって「主要国」の支配力が弱まるということだから。日本も含めて「主要国」が「主要国」たりうる前提は、この場合通貨が強いことだ。経済力だ。通貨が強いのは価値があると信じる「信者」が多いという担保があるから。人口か、テクノロジーか、物質か。それがインフレで弱くなるわけだから。外貨準備高も非主要通貨に対して目減りするから意味がない。


戦争は対日ではないかもしれないけど。火種なんてきっかけだから、僻地でもいいのだ。
そして、そこまでいったら中国は台頭するかもしれない。イギリスとアメリカが2度の大戦で形勢逆転したように「主要国」の意味や力関係がかわるかもしれない。

現実的には

まあ、しかし、個人的には日本の地盤はまだそれほど酷くないと感じる。


ひどいときって、膠着するか乱高下するのかはおれにはわかりませんが。いまのところとりあえず円が高い、つまり円への信用が多少は生きているように感じる。円が安定している限り、円と比べれば自国通貨の「正しい価値」みたいなものが実感として分かるということ。主要3通貨が同時に、あるいは乱高下しつつ順番にインフレがすすんでいくのが一番怖いのであって、どれかひとつでもいいから信用面で生き残れれば、スパイラルにはならないだろう。それが円かもしれないということ。


とはいえ、対円のドルのレートもせいぜい100円前後が適正だと思う。ただ、サブプライムって結局、「サラ金」並のゆるさで、しかし、なぜかひとつ桁が大きいお金を貸してしまったということっぽい。


それを許してしまったわけだから、米国社会とそのつけを分担して引き受けつつあるんでしょう。投資した人々も資産を失うが、社会的に言えばそれよりも破産した人々のほうが問題だ。いま不況のニュースが飛び交う中で、日常を、彼らはどのように生きているのだろうか。


いわゆる「実体経済」みたいなものが悪化したらほんとにあぶない。
「コーヒー一杯がトランク一杯の札束」とかは、さすがに勘弁してほしい。

Creative Commons License ©2007-2021 IIDA Munenori.