島本理生『CHICAライフ』
- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/27
- メディア: 単行本
- クリック: 16回
- この商品を含むブログ (51件) を見る
比べるのもおこがましいですが。
ごめんなさい。いままでここであまりにも粗末なもの見せてきて、ごめんなさい。です。
なんか、おれ、じぶんの自意識の重さがいやだと思ってる風なことをしょっちゅう露呈させているけど、ほんと、お恥ずかしい限りというか。だって「重い」と思ってる割には、大したこと無いんだもの。むしろわざわざ重いことを見せびらかしていたかもしれない…。
と、この本を読んで思いました。
やらずに後悔するよりは、やって失敗する方がいいとは、よくいわれることですが、こと恋愛や人間関係など、日常全般にわたってここまで実践的に徹底できる人は、まずいないと思います。すごいです。
そもそも、この初出の連載にいろいろ書いてしまってるんだもの。それでちゃんと面白いからね。プロですね。
もちろん、本人的には各方面に考慮して、隠すところは隠してたらしいのですが。そういいつつも、現在進行形の「同居人」氏の話を連載していたという事実には、うわすげえ、とのけぞるしかない。
あとがきで、編集者に初回の原稿を見て「自分自身のことを書くのが苦手なのでは」と指摘されたので、事実を具体的に書くようになっちゃったんだ、とおっしゃってますが。問題は、それができちゃうことであって、苦手意識うんぬんは本文を読んだ後になってみると、ただの経緯説明にしか見えません。
それに、書かれたもの以外にも、たとえば頻度に出ちゃう(出しちゃう)ものもあるし。そういう生活感みたいなものって、なにか言外に伝わってしまう。いやこんな持って回った言い方しなくても、具体的には「同居人」という単語につきるんだけど。あれ、なんか「同居人」がいきなり多いぞと思ったら、同棲を解消し、そのわりに妙に「同居人」という言葉の登場回数が減らなかったり。そしたら実際「ネコ」つながりでしっかり復縁するし。佐藤友哉という作家と連載終了からこの本の刊行の間に結婚したと書いてあって、で、それが同一人物らしい…って、おい!
作品を初めて読んだときに、83年生まれなのに、98年から(15歳から)プロフィールが始まっているのを見て、まずそれだけで、うわ、と思った憶えがある。このひと本当に同世代なんだろうかと。普通じゃねえぞ。
(プロフィール)1983年東京生まれ。1998年初めて応募した『ヨル』で「鳩よ!」掌編小説コンクール第2期10月号当選、年間MVPを受賞。(略)
でも、きょうはきょうで、その度合いが想像していたよりすごくてまた「うわ」でした。
あとね。同棲と何とかはふたを開けてみるまでわからない、とか格言が書けちゃうだけの経験ってなんなんだー。10歳上とかなら驚かないんだけど。感覚的には、現実に時間差トリックやられたぐらいびっくりだ。
と、ここでググったら島本さんの方が「とんでもない」と佐藤友哉を紹介してる記事をみつけたけど。
http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/452501.html
いや、なんか、おれが『CHICAライフ』に対していいたいことは概ねこういうことだと思うんだ。ていうか、ここまで書いたこの文章より、(別の本の紹介だけど)上の本人の文章のが本人をよく表している気がするなあ。
で、あーあ。それにしても。自分を振り返ってびっくりでした。この本を読んで「ふと自分を振り返って」みるとは、なんてすばらしいタイミング。タイミングよすぎ。
ふりかえってみて見えるものが、いろいろ残念すぎです。やってることが痛い。心が痛い。自意識過剰だと思ってるのは、自意識とか、かっこつけてるだけで実際は怠惰さと頑迷さ。それ、重いとかじゃなくて、単にめんどくさいだけじゃん。とか…。いーやー…。
おかげで多少軽くなったけど。たぶんこの本読んだら、いろいろ軽くなる人は結構な数いるかと思われます。だって、悩んでることに悩んでるとかみたいな、ぐじゃぐじゃになった悩みって、たぶん「ばかばかしくなる」以外に解決する方法はない気がする。
以前、誰だったかが書いたエッセイで、書いたものを発表することを、排泄物を見せることにたとえているのを見たんですが。そのときは「おれには、そこまではできないわー」と思ってたけど。違うんだ。すでに、おれは自分のお粗末なものを、ここで十分すぎるほど、お見せしてしまっているんだった。公衆衛生とか、いろいろごめんなさい。「フンは持ち帰りましょう」。
せめて、つい見せちゃうにしても、もう少しまともなやつだったらよかったんだけど…。
そうだ、この上、このサイトで自慢できることがあるとしたら「言及ISBN/ASIN」です。(ただ、それが面白かったとしても、そもそもおれの手柄じゃないけど。)
というか、さしあたって、出版されているということは、それなりに面白いと思った人がいるわけですから。じっさい何を読んだって、それ相応におもしろいもんね。