だまんです。

プログラミングや写真や本や読書会のことや、日常のこと。

特例有限会社の社長交代の登記をする(2)「登記すべき事項」と申請書記入

[広告]

特例有限会社の社長交代の登記をする(目次): (1) (2) (3) (4)

基本方針: 紙で申請、オンラインで「登記すべき事項」を送信

 ここでは、オンライン申請は使いません。ただし、「登記すべき事項」と呼ばれるプレーンテキストのデータがあり、これだけはオンライン申請用のソフトを通して送信します。
 もちろん、MacなのだしWindowsなんて久しく使ってないので、無駄にVirtualBoxWindows XPです。
 これについては、はっきりいってMacならCD-R提出のが早いと思う。まあ、趣味ですね。一応、処理状況を見れるし。

 (CD-Rの場合、申請書1ページ目の「登記すべき事項」欄*1について、「別添CD-Rのとおり」と書きます。それ以外はオンライン申請でもCDでも同じはず。詳細は法務省:商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した磁気ディスクの提出についてを見てください。
 Macなら「mi」(無料のテキストエディタです)などで文字コードをShift-JIS、改行コードをWindows向け(CR+LF)に調整し、「(会社名).txt」等の名前で保存します。MacはOSの機能でデータのCDを作れたはずです。なんか特殊なフォルダを作って、ファイルをそこに置き、右クリックから焼くのかな? ブランクディスクは適当に安いの買ってください。FDDは所有してないのでわからないけど、Windows/MS-DOSフォーマットの2HD(ふつうのやつ)をなんとか調達できるのであれば。
 いずれにしてもCD-RならMacで困ることはないはずです。
 (はっきりいって99.9%容量の無駄だし、返還する前提で考えればフラッシュメモリのが便利だと思うし、この説明のフォントの下りなども7年前も今回も僕は相当イラっとしたんですが、まあ仕方がない。FD・MOだけとか言われないだけいいと思わなければ……。))

なぜオンライン申請にしないのか

 なぜ全部オンライン申請にしないのかですが、そのために電子証明書という、司法書士か法人代表者の印鑑に相当するデータが必要なのです。だけど、これの発行料金がハンコの登録に比べてはっきりいって不当に高く、その割には賞味期限が短い。しかも、これを申請して受け取るために、結局1度は登記所に出向く必要がある。それなら印刷したものを郵送や持参しても変わりません。
 この値段と不便さでは、よほどしょっちゅう会社の印鑑証明(410円くらい)を取得して使う人じゃないとペイしないのではないかと思われる。今のところ、素人がわざわざオンライン申請する理由はないだろう。
 たしかにセキュリティレベルは高そう(通常のメール等のPGP公開鍵暗号電子署名SSHのレベル)なので、大会社で、電子的な契約書や、電子化された取締役会議事録に、外部の権威づけのある電子署名をつけたい場合は、使えなくはない。
 でも、保管義務のある資料に、古い電子署名が付いていた場合、期限切れ後はどうなるのかな?と考えると、あまりおすすめはできないかな……。

テンプレートのダウンロード

 書類作りは基本的には、法務省:商業・法人登記申請のなかから、必要な登記のパターンに一致する様式を選んで書類を作ります。
 ブラウザの検索機能を使うと見つけやすいかもしれない。ただし、「特例有限会社*2「株式会社」などで分かれますので、検索するときは注意してください。

 さて目的のパターンが見つかったら、記入例のPDFをよく読んで、まず自分の申請内容と合っているかを確認します。ちょっとの差で必要書類や文面がごっそり変わることもあります。
 ちょうどいいものがなければ、株式会社の例も探し、いくつか合併して対応します。そして、その書き方が正しいかは、ググってヒットした、司法書士のブログやヤフー知恵袋の回答を見るなどして確認します。

 僕の場合はこの段階で、「特例有限会社」の節に、

  • 「商号及び目的変更」
  • 「役員変更(辞任等により新たな役員が就任した場合)」

という2例を見つけたものの、同時にやっている事例がないので、これはどうやら2件に分けて申請する必要があるらしいですね。
 むしろ設立登記のように1発で済む場合や、「目的」と「商号」のように抱き合わせになっているパターンのがめずらしいです。
 申請書は1つの区分について1通作るものと考えるべきなのでしょう。

 さらに、代表取締役の交代をともなうならば(執筆時点で代表取締役が交代するのか否か不明)、「役員変更(取締役及び代表取締役が重任した場合)」の様式を援用するつもりです。

 ところで、調べてみたら、有限会社では取締役1人のとき代表取締役の登記をしない(抹消する)らしいことが判明。これはもう登記のデータをなんとかして取得し、1人なのか2人なのか調べないと書けないじゃん、と。
 そう、実は全役員を把握しないまま登記しちゃうつもりだったのです。目的の登記と違って、役員は差分を送るので、その部分が一致すればできちゃうんですよ。ぜひとも真似しないでいただきたいですが。
 世の中には「取締役が誰と誰かなんて社内の常識だ」、というような会社だけではないのです。だって、当人も代表者も忘れてるんだもん……。
 ここの社長さんは、僕の持ってるペーパーカンパニーと違って、きちんと実態があります。いまでこそ定年退職的に商売ごと辞めてしまいましたが、これでも個人商店としては大きく、町工場よりは小さいくらいの規模だったはずなのです。いまでも自社ビルを維持していて、最盛期は人も雇っていたそうです。
 しかし、それだけの実態があった会社でも役員が誰かを忘れているのです。有限会社の役員に任期がない特権による弊害ですね。また会社法施行で出資した人の名称が「社員」から「株主」に変わったりして、混乱したのかもしれません。

 それで、しょうがないから定款を引っ張りだしてもらい、登記事項のデータはPDFを(Theってつけたい)「登記情報提供サービス」で買ったわけです。
 ここは国の認定だか指定を受けてやっている団体なので、国のデータベースに直結していてほぼリアルタイムに近いデータが買えます。
 で、取ってみたら、案の定というか、定員が2名(つまり増減不可)になってるし、無駄に監査役がいるしで、いろいろ予想外でした。まあ、無給の監査役がいるのは困るほどのことではないのだけれど、今回の登記などを、無言でやるわけにはいかないので、若干手間が増えます。

Wordで記入

 利用する様式を特定したら、次に、それぞれのWord形式の様式をダウンロードして開いて、実際の住所氏名などを記入していきます。ダウンロードしたファイルの名前が番号だけなので、リネームしておいた方がいいと思います。
 これを対応する記入例のPDFを見ながら、埋めていきます。冒頭の2ページを申請書、次が印紙貼付け台紙、残りをまとめて添付書面と呼びます。

 取締役・代表取締役の「就任」「重任」(任期切れ直後に再任)の際の添付書類については、会社の形態によっていろいろ違うので、さっきのページの「様式1-10  株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)」の「別表(Excel)」が参考になるかと思います。
 「1-30 株式会社代表取締役の就任による変更登記添付書面一覧(PDF)」っていうのもありますが、ほぼ同じかな? ちなみに、特例有限会社は「取締役会非設置会社」のところを見ます(特例有限会社は取締役会設置できない)。

 ただ、そうはいっても、基本不親切なので「有限会社 代表取締役変更 登記」などとググってください。Googleで検索すると、本当にあちこちの司法書士が手続きの実際をブログに書いています。法務省由来のファイルは、説明があらゆる事態を網羅しているとはとても言い難いです。インターネット時代以前に比べればだいぶ親切になったのでしょうが。

 法務省の文書を見ていると、自分で申請する人も増えましたけど、やっぱりこの仕事は、大きい変更については司法書士が代理するものだという感覚が抜けきれていない気がします。

 ちなみに僕の場合、一番近いのはこれの「その1 役員変更登記」でした。代表取締役が辞任し取締役に残り、他の取締役が辞任し、新任の取締役が代表取締役に就任するというストーリーです:

 ただし、注意しなければならないのはこのテンプレートに限らず、民間のテンプレは最新の状況と一致していない可能性があることです。
たとえば、このテンプレは平成8年ごろに書かれたものを、会社法施行で一部修正しているようです。なので、ちょっといまの流行とずれている部分(就任承諾の文言が法務省の例と違うし、「特例」が抜けている)があります。ただ、おおむね法務省の様式より情報量が多くわかりやすい(これを見てわかりやすいって書いてしまうのは病気だな……)。
 なので参考にしつつ、法務省で最新の情報とずれていないか確認するというのが賢い使い方でしょう。
 別にここでなくとも、ググって、日付(会社法の以前・以後)をみて決めればいいでしょう。

申請者はだれか: 代表取締役変更について

 法務省様式のどの辺が不親切か、具体例をひとつ。
 社長1人が取締役で、社長退任&新社長就任する場合の登記では申請者は誰になるのでしょうか。
 答えは、申請時点での代表権のある取締役(新社長)です。

 と、いうようなことが、結構書いていないんだよね。分かるけどね。毎日これを仕事にしている人たちに取っては当然すぎて意識に上らないのでしょう。ググっても意外と正解がはっきり書いてなくて、困りました。

 そういえば、代表取締役って、登記されていなくても、正当な手段で選任されたら、その選任された株主総会とかの終了時点で代表取締役の権限を持つみたいなんですよね(就任時期をずらすこともできるらしいけど、法務省の様式にはない)。
 そして、このような登記は事後報告なので、申請書を書く義務は新しい経営陣にいくという解釈のようです。

 ただし、選任した責任というか保証は前の社長の名前でします。議事録にハンコをつくのは前社長の最後の(?)仕事のようです。議事録は総会の一部で、総会中はまだ任期が残っているということでしょうか。ちなみに、役員の任期はふつう定期株主総会の終了をもって退任(再任されたときは重任と書く)となるように決まっています。「定時株主総会の終結の時まで」みたいに。

 これは空白期間を設けないためのようで、所定の任期前に辞表で辞任する時も、代表だったり、最後の1人だったり、定款に定めた定員を割るときは、勝手に辞めたことにはできないのです。
 ちゃんと法律で決まっていて、基本的には後任の人が就任するか代わりの人が来ると辞めたことになるみたい。

 関係ないと思うかもしれませんが、代表取締役が辞任したりすると、かんたんにこの状態になるのです。そういうわけで、後任の互選書に、なぜか辞任・退任したはずの前社長が代表印を押せるのです(互選書を書き終わるまでは社長だから)。まあ、うちの会社もこうなるかもしれなかったわけです。
 でも例えばいきなり役員が亡くなった場合などはそうもいかないので、互選書に取締役全員の実印+印鑑証明で対応するそうです。あらかじめ補欠を指名しておいたり、そうでなければ利害関係者が裁判所に申し立てて仮の役員を指名してもらう仕組みもあるらしい。役員って大変なんですね……。

 でも申請書につくハンコは現在登録してある古い代表印(=代表者印=届出印=会社実印)です。
 なんでこれでいいのか理由は不明ですがが、たぶんこの申請書を書く段階ではすでに代表権が移動しているから、ハンコも譲り渡してあると考えるのかもしれません。
 まあ、登録してある印鑑じゃないと見分けがつかないので、古い方を押してほしいというのが実務的な理由だと思う(法務省様式は代表が交代しない例しかなくて、見ても「登記所に提出している印鑑を押印してください。」としか書いてない)。

 この印鑑(届出印、代表印)を紛失しているときは、ここで作っている申請書に新しい印鑑を押し、あわせて改印の届出書を添付します。
 改印の届出には、新代表者の個人実印(+印鑑証明)を押す。ただ添付書面に前・新取締役全員の印鑑証明がいるのかな?多少やっかいになるようです*3
 代表印を新しく彫ってもらうわけですが、これはいまどきハンコ屋といっても、パソコン直結のプロッタみたいなやつで彫りますので、そんなに時間はかかりません。

 特例有限会社では、取締役が1人だと取締役に「代表」をつけられませんが、もちろん代表権はあるのでここに「取締役」という肩書きで書けば良いそうです。一般向けの名刺などでは「取締役社長」とかになるのでしょう。他方、株式会社だとふつうは1人でも「代表取締役」で、名刺「代表取締役社長」になります(というか、ふつうはそう登記します)。
 法律や運用上、「常務」や「専務」と、ただのヒラ取締役、さらに取締役部長等でも微妙な区別があるようです。が、登記上はみんな「取締役」で、法律に定めのない「CxO(CTO、CIO等)」でもなんでも株主(定款と決議)がOKならOKらしいです。

 ただし、代表取締役でない「会長」「社長」*4が契約書にサインしたのに、会社が後から拒否すると混乱するので、代表取締役っぽい名前の人がサインしたら代表取締役がサインしたのと同じということになる決まりがあるらしい。なので、会社側も一度した契約を勝手に断れないわけです。だから「社長」「会長」「副社長」は代表取締役本人と信頼できる取締役にしか使いません。
 ただ「名誉」は代表権がないのが明らかなので、「名誉会長」などはてきとーに贈ってもあまり問題ないようです*5

 逆に言えば、代表取締役は元々特別なのがわかるので、純粋に好みと定款の定めで「社長」「会長」「CEO」「頭取」「総裁」「総帥」「主筆」など、なんとなく代表者な感じがある名前なら許容されるらしく、昔からバリエーションがあるのです。あと「CTO」も許容されるみたいですね。さらには「社長兼○○」とする例もあって、ここまでくるとなんでもいいじゃんって感じですが。
 (僕も無意識で自分が技術屋でいたい思ってるので、前の会社は1人で代表取締役最高技術責任者って名乗ってました。Appleの法人契約くらいなら、どうせ全部事項証明書が添付だったのでOKでした。)

特例有限会社の社長交代の登記をする(目次): (1) (2) (3) (4)

*1:「登記すべき事項」欄と「登記すべき事項」データは別のものです

*2:すべての有限会社です。なぜ「特例」がつくかというと、会社法では株式会社の特殊なパターンだから

*3:役員変更登記についてある既存の会社を譲り受けることになりました。商号、本... - Yahoo!知恵袋

*4:「表見代表取締役」などと呼ぶ。会社法354条

*5:とか書いたら、最近JR東海代表取締役名誉会長という役職の組み合わせを作ったって記事を見つけてしまいゲッってなった( 『「代表取締役名誉会長」は何する人ぞ?』(東洋経済オンライン))。うーむ、なんだかなあ……。しかし、「代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称」をつけたときというのが会社法の条文だそうだから、JRの事例があるからといって、今後「名誉会長」は代表取締役っぽい名前だとはならないと思うけど……

Creative Commons License ©2007-2016 IIDA Munenori.