だまんです。

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咳をしても、読書

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平山瑞穂/シュガーな俺

シュガーな俺

シュガーな俺

プロフィールにこの作品は「経験に基づいて執筆されたオートフィクション」だとあるのだが、オートフィクションって語がいまいちわからない。「事実に基づいたフィクション」みたいなものらしいけど。

ぜんぶ事実に基づいていたとしたら、すげえ度胸だと思いますが…。
それはそうと、タイトルはなんとなく破天荒な感じですが、主人公は几帳面で、めちゃくちゃ凝り性です。
なので、「糖尿」という病気との向き合い方を示すものとしては理想的だと思う。病気になるしくみ、食事をつくること、外食するときの考え、インスリン注射の実際、などなど、主人公の性格が反映され、ディテールが細かいのです。

石田衣良/波のうえの魔術師

波のうえの魔術師 (文春文庫)』を再読。この人とは、どうも物事の捉え方が合わねえなあと読むたびに思うのだけど、それと同時に、嗅覚の鋭さには感心させられる。これの単行本は01年8月(単行本)、初読時は、99年10月に出版(単行本)されていた川端裕人リスクテイカー (文春文庫)』を読んだ記憶があったので、とっかかりや、キーワード的にはかぶるのに、ここまで違う方向にいくのか、という読み方をした(川端側から見ると、これと比べられるのはいやかもしれないけど)。
川端が現実に対して、科学的に相似な物語をめざすようにみえるのに対し、石田が描く世界は、実名が出ていても(とくに地名)、必ず恣意的な「石田フィルター」が強く掛かっている。なので、実名が登場するファンタジーだと思わないと現実認識を間違える。と、分かっていても、しかし老人の語る戦後すぐのころの、黒板を使って価格を表示するような株式取引の回想や、銀行の営業のハラスメントの描写には、いかにもありそうだと思わされてしまう。

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