だまんです。

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すがすがしいマザコン

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芦原すなお/野に咲け、あざみ

野に咲け、あざみ

野に咲け、あざみ

作家の実母「律子」が主人公。作家による「三男」とは一応少しずれた立場での、独り語りなのだが、しかしすがすがしいぐらいのこのマザコンぶり!(もちろん褒めるんです。)
おそらく「子」の立場をある程度終え、いろんな感情を乗り越えて、残ったのがこの美しいものだったのだと思う。
と、これ以上の感想は、おれの口からはむり。かゆくなっちゃう。

海堂尊/ブラックペアン1988

海堂尊ブラックペアン1988
医者1年生、世良くんが主人公。
高階(権太!)いんちょーは、「バチスタ」での桐生のように、帝華大出で米国帰り(!)の跳ねっ返りのベテラン外科医として登場。講師に就任。基本私情をはさまないんだけど、半ばで「ゴンちゃん」と呼ぶと、むっつりした顔をするとバレちゃったり。世良くんの指導医になったり。
ちなみに、胃がんの手術中、助手やってた世良くんが「試しにこの動脈ぬってみろよ!」と渡海に挑発されて、失敗。漏れてぴゅっと壁際へ飛んだ一筋の血をあびてパニック起こしたのは、世良くんに研修指導されてた我らが田口せんせー!ちなみにその一行には速水もいて、そっちは瞬きもしない…と。
で、病院の重鎮(世界的にも重鎮)「佐伯外科」の佐伯教授と、高階と、渡海のあいだで、基本は誠実でけなげに、しかしときには大胆に、世良くんが立ち回る!次第に成長し、たくましいしたたかさを見せる世良くんに注目。
そして、黒いカーボン製特注ペアンを持つ佐伯の真意は…。」とか、そんなテーマもありますけど、個人的にはやっぱ、がんばれ、世良くんっ!(どんだけ)
ちなみに、舞台となる古い病棟、エレベータに乗ると一瞬、照明が消えるらしい…。そして、近く病棟としてはお払い箱になる予定だけど…。
あ、そうじゃん「たまご」の舞台だ!

石田衣良/非正規レジスタンス

池袋ウエストゲートパークシリーズもなんと8作目。
石田衣良非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉』。
いや、これは本当に偉大なシリーズです。まあ、物語の設定や世界観は、これはもうある種の様式美。いつものやりとりが、一種の儀式みたいなものというか。繰り返しの芸。マンネリだろうが、ぴりっと上手ければそれはそれでいいと思うわけ。
スパイスだけしかないときに、手元になんでも振りかけられる便利なベースがあるのはいいことだ。そうすることで、手早く、スパイスが、美味しく食べられるようになるのだから。
しかし、最後(表題作)は、あまりにも安易すぎる結末。何も解決してないのに!
現実的には何も解決していないにもかかわらず、スケールダウンした身内だけで大円団になるというフィナーレは、正直なーんだって感じ。
しかも、「親玉の子供」ってパターンを一冊で2度も使うのも、どうかと思う。
あまりに、長期化しすぎたせいで、終わるに終われなくなっちゃったんだろうか。マコトをステップアップさせてたりしないと終われないものね。なのになんだか無欲だし。たいへんですねえ。
でも、マンネリ化した芸のたのしさってのは、それはそれである。ただ、水戸黄門までいくとおれにはさすがに無理だけど…。安定した舞台で、いかにして若干のユニークさをひねり出すか、というのは大変なことだろうけど、だからこそ見ていて感心するんだから、それは当然、まあしょうがないというかなんというか。がんばってください。

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